3月11日の東日本大震災のすぐあと、19日に予定されていた横浜にある山手ゲーテ座でのコンサート。大変な状況でいったいどうなるんだろうと思っていましたが、当日開催でも中止でもなく、延期という発表に安堵したのを覚えています。そして、約4か月後の7月16日(土)に振替公演が行われました。
毎回クラシック奏者を迎えての特別なコンサートである山手ゲーテ座は今年で3回目。
開場2時とかなり早い時間!猛暑の中ゲーテ座に向かいますが、レンガを施した趣のある岩崎博物館の中のそのホールは、変わらぬたたずまいで私たちを迎えてくれました。
広くはないけれど、清潔感のある綺麗なホール。思わず背筋をすっと伸ばしたくなるような素敵な空間です
ステージには、向かって左にグランドピアノ、中央に三浦さんのギター2本と譜面台に椅子。そして右側に、もうひとつ椅子が用意されています。
いよいよ客席が暗くなり、ステージにライトが 2時半開演。
大きな拍手とともに、三浦さん、そして鳩野信二さんがステージへ!
三浦さんはシックな桜色のシャツに黒のパンツ。
クラシカルなコンサートにピッタリなお衣装!素敵ですッ
椅子に座って、ギターを少しチューニングしたあと、
陽だまり (雅夢 夢つづりより)
♪ きっと君の街の空も
輝いている早春(はる)です ♪
輝いている早春(はる)です ♪
「ようこそおこしくださいました。ピアノは鳩野信二さんです。」
「今日は3月19日です。冷房は春風。なくなってしまった大事な春をとり戻す、そんな想いでいます。」
追いかけて
♪追いかけて 追いかけて
時間よ もどれ あの日に ♪
時間よ もどれ あの日に ♪
3月に予定されていた選曲をそのまま変えなかったそうですが、
今の気持ちと重なるようなフレーズが心に響きます。
霧雨の旅人
歩く速度で走るスロージョギングをされている話。
「12月の宮崎での青島太平洋マラソン、テーマ曲唄っていますが、ホームページ見たら走ることになっていました(^_^;)」
「哀しい歌を2曲」
桜びえ
♪桜さらさらと 川の流れ染めて
一度いちど離れた 愛はもう戻らない
花なら蕾が好き 帰りたいあの日に ♪
一度いちど離れた 愛はもう戻らない
花なら蕾が好き 帰りたいあの日に ♪
卒業 (三浦和人 心の扉 より)
♪君が天使になった 交差点 行きかう車の影 君を探してる ♪
♪桜舞う交差点 歩き出すこの僕に
君の言葉がふと 聞こえてきたような気がする
過ぎし日の・・・ ♪
君の言葉がふと 聞こえてきたような気がする
過ぎし日の・・・ ♪
実際に小学校のころにあったことを元に詞が先にできた曲だそうです。
桜舞う情景に三浦さんの詩の世界がひろがって 涙ぐんでしまう。。。
ゲーテ座は三浦君がしゃべらないクラシカルなコンサートだそうで!
そして、今年のクラシックな楽器は???
ゲスト登場!ホルン奏者の岡谷さんです。
サヨナラのスケッチ(雅夢 風花より)
ホルンは遠い昔へといざなってくれるようなゆったりと柔らかい音色。
三浦さんの優しい唄声と鳩野さんのナチュラルなピアノの響きがとけあって
春色の風景を描いていました。
岡谷さん「三浦さんがマニアックなクラシックなコンサートに来られて、本当にクラシックが好きなんだということが分かりました。」
ここで岡谷さんがホルンの説明を。
ホルンを解体して音比べ。
ホルンはもともと狩りに使われていた楽器だそうです。
ホルンをメインに、三浦さんのギター、鳩野さんのピアノで。
ブラームスの子守唄
穏やかで暖かな織りなす音色に心が洗われるようです。
コンサートのタイトルに「少年の頃」とありますが、三浦さんが子供の頃心打たれた歌を毎回唄われています。
今年は。。。
曲にこめられた想いが真っすぐに伸びやかに唄声にのせられて感動でした。
3月11日はこのゲーテ座のコンサートの為のリハーサルをされていたそうです。
揺れている棚を三浦さんと鳩野さんで押さえていたとか。
「コンサート会場に募金箱を置いてまわっていますが、1円でも2円でも100万円でも(笑)構わないので。募金してくれたらサインします。集まったらホームページでご報告します。」
夜の河 (三浦和人 僕の声が聞こえますか)
鳩野さんアレンジの曲。
ホルンの響きが深い夜のしじまを、ピアノの旋律は河のさざ波のように思いました。
三浦さんの切ない唄声がいっそう美しく哀しく聞える。
「リハーサルをしていて、哀しい唄いっぱいうたっているのに幸せいっぱい。
楽しくてしょうがない。」
雅夢を解散すると決めてさりげなく唄にした曲とお話されて、
風のように時のように
途中、ミスがあったようですが、最後ちゃんと揃ったことに三浦さんはビックリされていました。
さすが、プロミュージシャンの皆さん!
でも三浦さんらしく!?もう一度最後の部分だけ唄ってくださいました。
三浦さんと鳩野さんのお二人で。
「ソロで唄い始めた時に2人で歩き始めたんだよね」と三浦さんが言ったら
鳩野さんは「そうだったっけ?」と言われたそうで(笑)
でも、三浦さんの唄をひきたたせる鳩野さんのピアノの音色は、 長年のお付き合いのお二人の信頼関係を映し出されているように思いました。
気づいて
風の足跡
♪ほんのささやかな夢 両手に握り締めて
胸躍らせて列車に乗った この街を目指して
でもいつか知らされた 哀し過ぎる現実
羽ばたけない 折れた翼
壊れてゆくだけの夢 ♪
胸躍らせて列車に乗った この街を目指して
でもいつか知らされた 哀し過ぎる現実
羽ばたけない 折れた翼
壊れてゆくだけの夢 ♪
自分の翼ならまだなんとかできるけれど、震災で、まして福島原発で被害をこうむった人は自分の翼ではない、それを思ったら悲しくなった、とおっしゃっていました。
「何を信じていいのかわからないというのは一番しんどい。
想定外ということが非常にきらい。地球を知りくしたような言い方にあまりにも謙虚さがない。。
正直に生きようと思った。」
永遠
~アンコール~
三浦さんがステージに登場されて、お客様からのプレゼントを受け取った後、
「DVD コッキーポップTVベストコレクション 」を手にして
「これが出るんです。」とご紹介。白いマフラーをした三浦君に逢える?らしいです
ひとりでやれと言われたそうで、ギターを抱えて 譜面のファイルをめくって、しばらく探して、、、
「CDにない曲。高校2年生の時に作詞作曲をした歌を。」
冬景色
真っ暗な夜
チラチラと音もたてずに雪が降る
冷たく白い冬景色
身も心も凍りつく寒さの中で
君の愛が、ぼくの心を暖めてくれます
一人でどうすることもできない寒さでも
君の愛があれば 生きていけます
マイナーコードのメロディーも詩も心を打つ素敵な曲。高校2年生で創られていたとは、驚きです!!!
「次のアルバムに入れるのはどう?」と三浦さん。
はい絶対入れてください~~~!!!
鳩野さんがステージに戻られて。
鳩野さんのしずくがこぼれ流れるようなピアノの旋律に
三浦さんの甘く切ない唄声。まるで芳醇なワインの香りに包まれているようで。。。大人な唄に酔いしれました
岡谷さんもステージに。
三浦さんは来年はこれで、再来年はこれで、死ぬ前にこれで、と
クラシックの楽器を決めていらっしゃるそうです
これからもずっと続くのだと思うと、本当にとても楽しみです
「最後の曲になりました。9月3日に原宿でコンサートがあります。
大切な思い ずっと 唄いつづける 君がいるかぎり ということを 持ち続けていきます。」
夢で逢いたいから
桜色の風景と春の風を描いた、クラシカルなコンサートは幕を閉じました。
春を取り戻したい、そう三浦さんが最初におしゃったとおり、
心の中は春色の光と影に満たされていました
今回はどの人にとっても特別なコンサートだったと思います。
コンサート終了後、長い行列ができたサイン会に、三浦さんはいらっしゃいました
三浦さん、大変お疲れ様でした!そしてなくなってしまった春を、素敵な歌声ととも届けてくださって、
本当にどうもありがとうございました!!!
なくなってしまったパズルのピースが埋まったような心持ちがするのと同時に
心に残る思い出の1ページが刻まれました。
そして、ピアノの鳩野信二さん、ホルンの岡谷治夫さん、そしてスタッフの皆様も
お疲れ様でした!ありがとうございました。
ホールをでたら、まだ日差しも高く、友人たちとゆるい坂道をおりて、
中華街でまた余韻に浸るのでした
震災がなかったら、卒業のシーズン、もっと号泣していたかしら???
思ったのは、やっぱり行ける時にコンサートには行ったほうがよいのだな~ということ。
いつ何がおこるかわからないのだから。。。